「来いや鯉 茄子は為さねど 汝
なら 滝を昇りて 勝利の龍に」
昨年12月に福知山温泉に行き、
露天風呂の岩陰にある滝湯を試し
た。高さ3メートルほどから落ち
る湯の与える痛みから、鯉の滝昇
りの非現実性を実感したが、それ
で龍の幻想にも納得が行く。一方
で川の堰を遡上する鮭を思えば、
滝を昇ろうとする鯉はいるかもし
れず、龍は高みからそれを眺めて
健気と思うか馬鹿と思うか、いず
れにしろ茄子とは違って水棲の動
物なら、いつかは滝を多岐な困難
の果てに克服するかもしれない。