まだ読んではいないが、ジャン・ コクトーの小説に『大股開き』と 題するものがある。何とエロっぽ い大胆なタイトルだろうと思いな がら散歩していると、真っ黒な烏 がたくさん集まって、グロテスク にも残飯の奪い合いをしていた。 雑食性の烏は知能も高く、いろん なものを口にくわえて運びもする が、もしゴミ箱の中に自分たちの 姿を水墨でさらりと描いた扇子で も見つけようものなら、「難扇子 は何せんす」と思ってボロボロに してしまうだろう。エログロもナ ンセンスも扇子も人間のものだ。