『長靴をはいた猫』の結語は、父 からの遺産も大きな利益だが、若 い人にとっては知恵や世渡り上手 の方がずっと値打ちがあるという 教訓だ。昔の日本でも家督を継ぐ 長男以外は他郷に出るのが普通で あったのに、金なくして生活でき ない今では、わずかな遺産を巡っ て兄弟姉妹の仲が気まずくなった りもする。保険金目当ての犯罪も 出続ける一方、どっちもどっち、 元来仲間同士の相互補助精神から 出発した保険が、完全に保険会社 の金儲けの手段に化した。これも 世渡り上手の知恵と言うべきか?