先日の新聞にイルカが数頭横たわ った写真が載った。よく見ると、 それは夏の味覚の茗荷であった。 写真では大きさを比べるものが何 も写っておらず、また茗荷の胴体 の膨らみがイルカそっくりで、間 違うのも無理はなかった。茗荷を 食べ過ぎると物忘れがひどくなる という迷信がある。それが本当だ としても、あのガリガリした歯触 りは捨て難い。腹いっぱいに食べ てごろりと横になれば、イルカに 見えるか。イルカを食する機会は なくても茗荷なら買える。両者を 伏せ並べて妙なる絵画を考えた。