ソウルの真ん中に静寂の世界遺産
あるとは驚きであった。木造建築の
宗廟は石畳の運動場ほどの広さの庭
を取り囲む形で左右対称に建つ。朝
鮮王朝の歴代の国王と王妃のための
祭祀の場だ。周囲の木立の彼方にビ
ルが全く見えず、これは大阪の四天
王寺と正反対だ。ガイドの説明の傍
らを小柄で足の不自由な洒落たスー
ツ姿の老人がひっそりと通り過ぎ、
廟正面で深々と一礼していたが、す
ぐ向こうでは白黒のカササギが番い
で啼き戯れていた。帰り際、ドング
リの実
を左右対称に2個つけた
枝が地面に落ちていたのを拾った。