小学生になったばかりの頃だった
か、ケイトウの花がのとさかに
似ているのでそう呼ばれると母か
ら教わった。その時の納得の気持
ちは今も鮮やかに思い出せる。去
年の秋は長かったが、小さな老婆
が世話している30坪ほどの畑の
そばを毎週自転車で通るたびに、
畑の中央にぽつんと5株のプルモ
ーサ系統のケイトウが植えられた
ままであるのを確認した。花の周
りには作物が何もないので、そこ
だけがぱっと赤い火が灯ったよう
に目立つ。それは鶏でなくても傾
倒したくなる楽しい光景なのだ。