近所を散歩中に気配を感じた。あ
る家の玄関脇の植え込みレンガの
縁に青い朝顔が一輪咲いてこっち
を向いていた。10月中旬のこと
で、もうとっくに夏は過ぎ去った
はずなのに、暖かい日が続くので
命を長らえているのだろう。それ
でも蔓は短くて地面を這うしかな
く、蕾も見当たらない。最後の花
を咲かせているのだ。その花の霊
が何かを語りかけようとしていた
ので気づいたと思うことにした。
「おじさんおじさん、見て見て、
わたしきれいに咲いているでしょ
う。おじさんも元気出してね。」