さすが真冬となると、ボートを漕 ぐ恋人同士の姿を見ない。そんな さびしい川面に鴨だけが集まって 泳いでいる。朝鮮の結婚式では新 婚夫婦が鴨の木彫りを2体それぞ れ捧げ持つ風習があったが、夫婦 和合の象徴として鴨が用いられる ところ、それなりの生態観察の知 恵が反映しているのだろう。そう 言えば、初めて作った切り絵5点 のうちの「そして、舟は行く」で は、恋人同士とそれをなぞらえる 鴨2羽を描いたが、その後ふたり は仲よく綾取りをしているのか、 それとも糸がもつれているのか。