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●人類の旅路の断章<15>
その昔、京都の繁華街をひとりの浮浪者「河原町のジュリー」が、方々歩き回っていた。ホームレスの姿がまだ珍しい頃だ。休みの日に出かけると必ず見かけたが、年々老いて、足元がおぼつかなくなって行くのがわかった。電器店の前でTVを眺めている姿が印象的で、店の人も追い払うふうでもなかった。気がつけばいつの間にか見かけなくなった。路上で死んだのだろう。その後、何人ものホームレースを見かける。誰も「河原町のジュリー」のような風格はない。ホームレスに風格があってたまるかと言うあなた、人生の先はわかりません。石を投げて憂さを晴らすなど、畜生道に陥った者のすること。努力しても運に見放される人もあります。ちらほらと雪が降りそうな黄昏に、心細い気持ちで雑踏を歩いてみなさい。そしてはかなく消えた夢を数えなさい。