●人類の旅路の断章＜１８＞
落ち込んでいる時には誰も近寄っては来ない。それは当然。伝染病の人には誰も近づかないし、ブルーな気持ちにも感染するのはいやだから。「クソ！ 気分が滅入っている時は風が体の芯まで吹きすさぶ気分だぜ。この春の生暖かい風までが、まるでちくちく突き刺す剣みたいだ。あっ！ 目ん玉にゴミが入りやがった。全くついてないぜ。何かいいことないかな、子猫ちゃん」。と、こんな具合に呪いたくなるような時には、その春風に甘い花の香りが混じっていることすら気がつかない。何でも思いようひとつ。落ち込んでいる時には誰も近寄っては来ないから、自分から上向いて歩むしかない。何事もそれが始まりではないかな。下を向いていたら、ごくたまには１０円玉を拾うこともあるけれどね。