大
は小を兼ねることを思えば、キモノと屏風の紹介だけで友禅の説明は充分と言えるが、ここではもっと小さい作品をまとめて項目別に紹介する。布地を使用し、染める行為による作品は無数に存在するだろうが、筆者が今までに手がけたことのある作品は、おおむね右に羅列するような項目に限定される。しかもいくつかを除いて、どれもあまり制作数は多くなく、しかも鮮明な写真を撮っていないこともあり、ここで紹介するのはごく簡単な形になる。友禅の技法は、その解釈の仕方にもよるが、布に何らかの防染を施し、染料あるいは顔料を使用して染めたものと限定する場合、そのほとんどの作品は右の項目のどれかにほぼ属するか、近似するものとなる。その意味で、この小品制作における一例を知っておくのは意味があるし、新たな発想によって、目新しい作品が生まれることも期待出来る。また、ここで紹介する小品は必ずしも糸目防染に頼ってはおらず、例外的にローケツ染めや染料をつけた筆で直接白生地に描き染めしたものもある。それは値段の比較的安い商品ということと、生地が糸目を施して染めるにはふさわしくない場合など、いくつかの理由を含んでいるためだ。言い変えれば、小品は厳密な友禅にこだわらず、もっと自由で簡単に染める場として役に立つ。そして、ここには江戸時代とは違って、現代の友禅の置かれている特殊な立場も垣間見えるが、それは別項で述べるべきことであろう。
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