|
乳 布は生地幅と同じにするのが理想だが、1センチ程度短い乳布でも、張り木に張った時にあまり支障はない。逆に乳布の幅が大きいのは全くかまわない。横糸がほつれにくいもので、高さは最低で4センチはほしい。これ以上短いと、染めるべき生地が張り木に接し、特に生地裏面では豆汁地入れに支障が出る。白生地のあまりを使うのが最もよいが、染めるべき生地の地色になるべく近くてうすい色のもので充分だ。逆に濃い色が染まっていると、引染めした地色がうすい場合は乳布の色が染まりつく場合がある。本ページの写真は『工程』で説明している振袖とは違い、別のキモノを染める時に撮影したものだ。 なお、生地同士の縫い合わせも以下と同様でいいが、別の方法もあって、それはここを参照のこと。 ●図1。白生地と乳布(ここではオレンジ色に染まった古いものを使用)の右端をぴったり合わせて縫い始める。生地の長さ方向の端から5ミリ程度内側に入った箇所を縫って行く。 ●図2は針を向こう側に通し、糸の末尾の丸結び箇所を生地端まで持って来たところ。 ●図3は生地向こうに貫いた針先を、ふたたび最初に針を通した付近(縫う左方向寄りに2、3ミリ移動した箇所)に刺し通す瞬間。この行為によって生地端部で糸が輪状になって生地端部が固定する。この作業は一度でよいが、念を入れて2回繰り返してもよい。 ●図4は生地端を糸の輪で固定した後、そのままザクザクと縫い始めているところ。縫い目は水平を心がけ、8ミリ間隔以下で縫う。細かく縫うに越したことはないが、経験上8ミリ程度で充分だ。これ以上大きく縫うのはよくない。 ●図5は図4の続き。 ●図6は一度に10程度縫って針に通しているところ。キモノの反物は柔らかいため、このように一度にたくさん縫い目を通すことが出来る。 ●図7は生地の左端まで縫い終わったところ。図2と同様に糸を輪状に1回縫い返している。 ●図8はその続きで、糸を引き締め、丸結びで生地上に固定したところ。 ●図9は縫い終わり。糸は木綿の8番を一重で使用し、針はその糸を通す必要最小限の太さのもの。 |