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 二曲屏風『夏日』

●24 ロー吹雪

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(図1)ローで堰出しした内部に
ロー吹雪を施す。


モノの工程説明でも同じ工程があったのでここでは詳述を避ける。生地を一旦張り木か ら外し、平らな状態に置いたうえで、周囲にローの粒が付着してもかまわないように新聞 紙などで広く覆って作業をする。ロー吹雪はローで堰出しした場合の斑点効果のための技 法であり、もし糊で堰出しした場合は撒き糊を使用する。ローと糊の併用がタブーかと言 えばそうではない。蒸し工場に糊とローを併用した生地を持参すればともに除去してくれ る。これはローをまず落とし、次に蒸しをして水に漬けて糊を洗い流すという順次を取る 。そうした行為を家庭で行なうのは無理があるので、筆者の場合は糊とローとの同時使用 は避けている。ローの除去は小さな面積であれば家庭ででも出来なくはないが、それでも 危険が伴いがちであり、また脱ローのための溶剤の保管には困難を伴う。さほど場所は取 らないが、容器を蓋を密閉しておいてもいつの間にか蒸発してなく中身がすっかりなるこ とがしばしばだ。そうした不経済性を考え、あまりローを頻繁に使用しない場合は工場に 任せた方がよい。糊とローを併用して同時にそれらを落としてもらうことで大きな失敗が 起きたことはないが、仕上がって来る時にはすでに糸目も落ちているから、友禅の場合は 完全に染めが終わった段階でのみ、糊とローの同時使用が許される。さて、話を戻して、 ここで述べている作品では糊をすっかり落とした状態でローを使用しているが、葉の一部 への墨流し染めとは別に、屏風下部の地面に相当する区画に仕上げとしてロー吹雪を施し てさらに濃い色を重ねることにした。このこともまた小下絵の段階で決めていたが、これ は地面、つまり土の表現を意識したもので、引き切り染めのフラットな色面では味気ない と考えたからだ。この地面の区画にはすでに染めが完成した茎や葉、それにひまわりの花 式図の区画や筆者の落款がある。それらを全部ローでかっちりと伏せてからローの吹雪を 付着させる。当然のことながらそうしたロー伏せ、ロー堰出しは生地を張り木に張ってぴ んと伸子で皺のない状態で行なう必要がある。


  16,糊堰出し部の引染め
  17,糊堰出し部の彩色
  18,再蒸し、水元
  19,乾燥
  20,糊抜染
  21,彩色
  22,ロ−堰出し
  23,墨流し染め
     25,ロー吹雪部の彩色
  26,ロー・ゴム・オール
  27,表具   1,受注
  2,写生
  3,小下絵
  4,下絵
  5,白生地の用意
  6,青花写し
  7,糸目
  8,地入れ
  9,色糊置き
  10,糊伏せ
  11,豆汁地入れ
  12,引染め
  13,蒸し
  14,水元
  15,糊堰出し
  
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