『工程』トップへ



 本振袖『四君子文』

●20 再 蒸 し
下の写真はクリックで拡大します。


(図1)彩色が全部終わればまた蒸しを
する。工場に持参するために、ひと続き
の反物状に縫い合わせる。


来は彩色が全部終われば糸目を除去して染め上がりとなるが、ここで説明する振袖では さらに工程を加えた。それは模様部分と一緒に糊伏せされた地部分をそのまま生地白で完 成とするのではなく、そこに胡粉を加えるためだ。生地白ではいくぶんは糊焼けしている こともあり、また水元の際にごくごくうすい濃度だが、地色の紫色がこうした広い生地白 部分全面を染めてしまっている。それを抜くと同時に、そこに綸子の光沢と胡粉による艶 消し効果を同居させるために、ロ−を吹雪状に吹きつけて粒状の防染箇所を万遍なく施し 、そのうえに少量の抜染剤のロンガリットを混入したややうすめの胡粉液を作って小刷毛 と筆を使って挿した。この工程をする際には蒸しは省いてもかまわないが、胡粉を引く時 にロ−伏せが糸目際まで完全にぴったりと行なわれない場合、彩色しておいたた色が胡粉 の濡れ部分に泣き出す恐れもある。それを防ぐためには、彩色し終わったものをひとまず 蒸しておけばよい。して後の作業ができる。そのため、文様部分の全彩色が終わって本来 なら取り除いてしまう乳布は外さずに、そのまままたひとつの反物状に縫って巻き、蒸し 工場に出す。この場合の蒸しは糊伏せ後のそれとは違って新聞紙を挟まなくてよい。また 糊がついている場合と違って、ゴム糸目だけならば蒸し代は少々安い。彩色が全部終わっ ているので、工場側が誤ってゴム糸目を落としてしまう可能性があるので、渋札には「蒸 しのみ」とはっきりと書き、蒸し工場に持参した時は口頭でもそのことを伝えて念を押す 。


  11,糊伏せの乾燥
  12,豆汁地入れ
  13,引染め
  14,再引染め
  15,蒸し
  16,水元
  17,彩色(胡粉)
  18,彩色(淡色)
  19,彩色(濃色)
  21,ロ−伏せ
  22,ロ−吹雪
  23,地の彩色
  24,ロー・ゴム・オール
  25,湯のし、地直し
  26,金加工
  27,紋洗い、紋上絵
  28,上げ絵羽
  29,本仕立て、納品
     1,受注、面談、採寸
  2,小下絵
  3,下絵
  4,下絵完成
  5,白生地の用意
  6,墨打ち、紋糊
  7,青花写し(下絵羽)
  8,糸目
  9,地入れ
  10,糊伏せ
最上部へ
前ページへ
次ページへ
 
『序』へ
『個展』へ
『キモノ』へ
『屏風』へ
『小品』へ
『工程』へ
『雑感』 へ
『隣区』へ
ホームページへ
マウスで触れていると自動で上にスクロールします。
マウスで触れていると自動で下にスクロールします。