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 本振袖『四君子文』

●27 紋洗い、紋上絵
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(図1)背中に家紋を入れた状態。


紋は礼装用の留袖では通常5か所に入れるが、そのほかのキモノでは今はあまり入れる ことはなく、入れても背中の1か所の場合が多い。また5分の直径に収まる通常の家紋で はなく、もっと大きな飾り用の文様紋を刺繍で入れることもある。刺繍で紋を入れる場合 は、白生地の段階でそれを考慮して、紋の入る部分を邪魔しないように下絵を描く。6「 墨打ち、紋糊」で述べたように、地色が濃くて、しかも描き紋を入れる場合は、白生地段 階でまず先に紋が入る箇所、つまり直径5分の円形ないし、それにぴたりと収まる家紋形 に、引染めの染料が浸透しないようにゴムで生地両面からかっちりと伏せておく。ゴム糸 目を落とす際に紋糊のゴムもかなり落ちてくれるが、生地の裏表から厚く伏せていたため 、一見ゴム分がないように思えても完全には落ちていない。そのため、その部分をすっか り元の白生地と同じ状態にしなければ、紋上絵屋が細い墨の線で家紋を描き入れることは できない。そこで地直し屋で充分な揮発油を使用しての「紋洗い」をしてもらう。その後 に紋の上絵屋に反物を持って行くが、紋帳には掲載されていない特殊な家紋の場合は、注 文者から予めその家紋の入っているキモノからその拡大コピ−をもらっておき、それを持 参する。上絵はどの家紋でも同じような価格で入れてもらえるが、上手な店では10倍ほ どの価格を取るので、どの程度のものでよいか注文者と相談しておくのがよい。紋を入れ た後すぐに仕立てに出すならばかまわないが、上げ絵羽する場合は紋に汚れがつかないよ うに5、6センチ角の白生地を用意し、紋がほぼ真ん中に来るようにしてその裂地で隠す 形にして簡単に縫いつけておく。

  21,ロ−伏せ
  22,ロ−吹雪
  23,地の彩色
  24,ロー・ゴム・オール
  25,湯のし、地直し
  26,金加工
  28,上げ絵羽
  29,本仕立て、納品
     1,受注、面談、採寸
  2,小下絵
  3,下絵
  4,下絵完成
  5,白生地の用意
  6,墨打ち、紋糊
  7,青花写し(下絵羽)
  8,糸目
  9,地入れ
  10,糊伏せ
  11,糊伏せの乾燥
  12,豆汁地入れ
  13,引染め
  14,再引染め
  15,蒸し
  16,水元
  17,彩色(胡粉)
  18,彩色(淡色)
  19,彩色(濃色)
  20,再蒸し
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